昨年末(もう2か月前の話ですね)、特許権と商標権のライセンス契約の仕事が立て続けにありました。
フランチャイザー(親・本部)が、フランチャイジー(子・加盟店)に対し通常実施権(特許)と通常使用権(商標)を許諾するという契約です。あまり詳しく書けませんが単なる商標使用のみならずOEM契約部分もあり、依頼主の要望に合致した契約書を作成するのはなかなか根気がいる作業でした。

今日はフランチャイズ経営における商標についてお話したいと思います。

フランチャイズ経営は、いわば「のれん分け」です。つまり、フランチャイザー(親・本部)はフランチャイジー(子・加盟店)に対して自社ブランド名やロゴなど営業の象徴となる標章の使用を許諾し、フランチャイジー(子・加盟店)から使用料金を受ける経営形態です。
フランチャイザー(親・本部)が使用を許諾するためには、許諾対象の登録商標(単なる商標ではなく登録されている商標)が必須です。

商標登録が行われていない場合には、その営業の象徴となる標章(ブランド名やロゴ)は「誰でも使用できる」状態であり、他人に対し「使用してよい」とか「使用してはいけない」などといった使用制限をすることはできません。

商標登録をしないままにフランチャイズ経営を行いつづけると、ある日突然まったく関係のない第三者に同じブランド名を出願登録されてしまう可能性があります。
こうなってしまうと、フランチャイザー(親・本部)が商標を使用できないだけでなく、フランチャイジー(子・加盟店)の使用に対しても第三者から損害賠償請求、使用差止め、等の請求がされる恐れがあります。

フランチャイザー(親・本部)となる事業者は必ず商標を登録をすること、フランチャイジー(子・加盟店)となる事業者は、フランチャイザー(親・本部)から使用を許諾される商標がきちんと登録されているか確認をすることが大切です。

友好的なフランチャイズ契約を維持するためには、フランチャイザー(親・本部)による商標登録は必須です。

弁理士 岡沢理華(高円寺特許事務所

高円寺特許事務所では、都内中小企業の場合、外国への調査や出願等の前に、東京都知的財産総合センターに費用助成の申請をお勧めしています。
特許か、商標か、意匠か、侵害調査か、、によってそれぞれ上限がありますが、かかった費用を半額助成してもらえます。
平成22年度の助成事業は全て受付が終了いたしましたので、今後の外国調査・出願に関しては平成23年4月以降にしたほうが費用面だけみれば得かもしれません。

(1) 対象経費
 外国出願手数料・弁理士費用・翻訳料 等

(2) 助成額
■助成率 1/2以内
■助成限度額 特許300万円、商標および意匠30万円、侵害調査200万円
■助成対象経費
  ・外国出願料   ・弁理士費用   ・翻訳料 等

 

弁理士 岡沢理華(高円寺特許事務所